夜尿症の原因は複数の要因が関与していると考えられていますが、その中でも特に下の3つが重要と言われています。
- ・睡眠から覚醒する能力の低下
- ・夜間の膀胱の蓄尿能力の低下:膀胱容量の減少、膀胱が勝手に収縮する
- ・夜間多尿:夜間に作られる尿量が多い
その他にも、発達の遅れや遺伝的要素、便秘なども要因として挙げられています。
八幡西区の泌尿器科・皮膚科
北九州市八幡西区相生町6番19号
・5歳以上の小児の就眠中の間欠的尿失禁
・昼間尿失禁や他の下部尿路(膀胱や尿道など)症状の有無は問わない
・1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続く
・1週間に4日以上の夜尿を「頻回」、3日以下の夜尿を「非頻回」とする
一般的に乳幼児期(生後1年〜6歳くらい)の夜尿を「おねしょ」と言いますが、5歳以上で月1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くものは「夜尿症」と呼びます。
日本で夜尿症になる子どもの割合は、5歳で15%、6歳で13%、7歳で10%、8歳で7%、10歳で5%、12~14歳で2~3%、15歳以上で1~2%といわれています。
夜尿症の原因は複数の要因が関与していると考えられていますが、その中でも特に下の3つが重要と言われています。
その他にも、発達の遅れや遺伝的要素、便秘なども要因として挙げられています。
夜尿症は、思春期までは1年間に14%ずつ自然軽快していきます。ただ、香港の研究者達から、「ほぼ毎晩夜尿のあった子供は、成人になっても夜尿が続いていた」という報告もあります。日本における研究では、医師による生活指導や薬物などによる治療介入にて、自然経過より治癒率を2〜3倍高めることが報告されています。また、治療期間も短縮し、治療をしない場合に1年後の治癒率が10〜15%であるのに対し、治療を行なった場合は約50%が治癒するとの報告があります。
まずは問診が重要となります。
夜尿症の子の約5%に泌尿器科的疾患、内分泌疾患、脊髄疾患や精神疾患などに罹患していることが分かっているため、病気による夜尿症がないかどうかを問診や診察で確認します。
さらに、問診では、「6か月以上夜尿が消失していた時期があるのか?」「昼間の失禁(ちびる、軽い尿漏れ)はあるか?」「寝ているときに起こして排尿させているか?」、夕食の時間や就寝時間などの生活習慣、家族歴について確認します。
尿路感染症や糖尿病などのスクリーニングのため尿検査を行います。
夜間の総尿量の確認を行います。夜間の総尿量は「濡れたオムツの重さ-オムツ自体の重さ+朝一番の尿」で測定できます。
正確な測定が難しい場合に、主観的で正確性は劣るかもしれませんが、尿量が非常に多いのかそうでないか大体の尿量を確認します。
その他、必要に応じて超音波検査などの検査を行います。
行動療法としては、「適切な姿勢(座位排泄時に両足底がしっかり床についている、お尻が便座にきちんとついているなど)で排泄をすること」、「尿意や便意を感じたら我慢しないで排泄すること」、「定期的に排尿排便をする習慣をつけること」などがあります。便秘は小児の下部尿路機能によくない影響を与えるため、定期的な排便をする習慣をつけるように教育することも大事です。
生活指導としては、カフェインの入った飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、一部のソフトドリンクなど)を避けるようにします。また、夕方以降の牛乳・乳製品、塩分、タンパク質を多く含む食品も摂取制限することも勧められています。
の他に、生活習慣や排尿に関する日誌(飲水量や排尿回数、排尿量、失禁・夜尿の有無など)をつけることで、どのような日に夜尿が起こりやすいのかを確認したり、夜尿がなかった日にステッカーを貼るというご褒美をあげることで、夜尿の改善を促進することが報告されています。
症状に合わせて下記のような薬剤を用いて治療を行います。
尿を濃くして尿量を減らす作用があります。
膀胱の勝手な収縮を抑制して、膀胱容量を改善させます。抗利尿ホルモン薬との併用で症状改善が期待されます。
尿意覚醒を促す、尿量を減らすなどの作用が知られていますが、機序ははっきりとはわかっていません。
おねしょをすると下着や専用パッドに装着したセンサーが感知して、アラームを鳴らしたりバイブレーションするなどして起こしてくれるシステムです。
この治療で夜尿症がなぜ治るのか完全に解明されていませんが、夜間の尿量減少、尿道括約筋(おしっこを我慢する筋肉)の収縮による排尿抑制や睡眠中の膀胱容量増加などの効果が報告されています。ただし、アラーム装着の違和感や他の家族の反対、アラームでも目が覚めないなどの課題もあります。
親御さんの不安・ストレス・焦りは知らず知らずにお子さんに伝わります。
結果として、お子さんの精神的ストレス・自尊心の低下を招き、生活の質が低下して、より夜尿を引き起こしてしまう可能性が高まることになるので、十分注意しましょう。
夜尿は週に4、5日ほど認めておりましたが、問診などから夜間の尿量が多いこともわかり、夕方以降の水分摂取を控える生活指導を行いました。
また、治療期間の余裕も無かったので抗利尿ホルモン薬と抗コリン薬の併用で同時に治療開始したところ、2週間後の再診時には夜尿が完全に消失していました。
その後、修学旅行が終わった後に内服治療を終了しましたが、夜尿はなく経過しています。
個人差がありますので全ての患者さんがこの様に速やかに改善するわけではありませんが、夜尿のない日がある(毎日夜尿を認めていない)お子さんは、早期に良くなる可能性が十分ありますので、お気軽にご相談ください!